「SHIZUOKAせかい演劇祭2026」がゴールデンウィークに開催。コミュニティ・身体・歴史・ジェンダーをめぐる注目の作品

世界各地の舞台芸術が集う「SHIZUOKAせかい演劇祭2026」が今春開催。多様な作品が並ぶラインアップのなかから、注目作を紹介する

SHIZUOKAせかい演劇祭 ロゴ

都市のような場を目指す「SHIZUOKAせかい演劇祭」

舞台芸術の祭典「SHIZUOKAせかい演劇祭2026」が静岡芸術劇場、静岡県舞台芸術公園、駿府城公園で4月25日から5月6日まで開催される。国内外の優れた舞台芸術作品を紹介する本演劇祭は、今年で27回目を迎える。これまで「Shizuoka春の芸術祭」「ふじのくに⇄せかい演劇祭」と名称を変えながら続いてきた本芸術祭は、「静岡」と「せかい」がひとつにつながる祝祭の場として、2025年から現在の名称のもと新たな歩みを始めた。

『うなぎの回遊 Eel Migration』 photo by Suzuki Ryuichiro

2026年の演劇祭では、劇作家・演出家の石神夏希がアーティスティック・ディレクターに就任し、すべてのプログラムを統括する。石神は劇場という場所について、「都市に似ている」と語る。続けて、「本当は似ているというより、似ていてほしい、と願っているのです。劇場が都市に。そして都市が劇場に。目を伏せて乗り込む電車で、互いに聞こえないふりをする街角で。たまたま隣り合った誰かとの間に、そんな瞬間が生まれたらいいのに」と話す。

国内外の都市で地域の人々とともにアートプロジェクトを立ち上げてきた実績を持つ石神は、その経験を生かし、地域に根ざした創作や、作品の「完成形」だけでなく創作のプロセスにも触れられる機会を、演劇祭のなかに取り入れる試みを行っている。

3,000kmを旅するうなぎをモチーフにした『うなぎの回遊 Eel Migration』は、石神が台本と演出を手がける新作。静岡で暮らすブラジルにルーツを持つ人々とともに、1年以上のリサーチと対話を重ねながら、現実と想像が交差する物語だ。

石神夏希 photo by Makita Natsumi(F4,5)
『うなぎの回遊 Eel Migration』 2026年2月ワーク・イン・プログレス公演より photo by Suzuki Ryuichiro

ラインアップには、ヨーロッパやアジアから多彩な作品が集結。社会を鋭く映し出す演劇、身体の深層を探るダンス、ジャンルを越境するパフォーマンスなど、様々な視点から「せかい」を想像する作品が静岡に集う。それぞれの舞台が響き合うことで、複数の視点が交差し、いまを生きる私たちの現在地が浮かび上がる。見終わったあと、誰かと語り合いたくなる、そんな対話を生み出す、開かれた祝祭の場を目指す。

さらに見どころとなるのが、国際交流基金との3年間にわたる共同事業「BIOTOPE」の始動だ。アジア地域のアーティストや舞台芸術のネットワークを育てる新たな試みで、今年は関連するトークイベントやワークショップが行われる。

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