公開日:2026年5月26日

「松本陽子 宵の明星を見た日」(府中市美術館)レポート。65年の創作の歩みを振り返る初の大規模個展

会期は5月23日〜7月12日

松本陽子 黒い岩V 1991

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日本の抽象表現を牽引した画家の初大規模個展

今年90歳を迎えた画家・松本陽子の個展「松本陽子 宵の明星を見た日」が、府中市美術館で開催中だ。会期は5月23日から7月12日まで。1950年代末の卒業制作から今年初頭に描き上げたばかりの最新作まで、65年におよぶ画業を一望する本展は、美術館では初の本格的な回顧展となる。

会場風景

松本は1936年東京生まれ。1945年に集団疎開を経て、戦後の復興期を目黒で過ごす。11歳から絵画教室に通い始め、高校でも美術を専攻。1956年、20歳で東京藝術大学に合格した。当時の藝大では具象の人体表現と重厚な絵肌(マチエール)が主流だったが、マティスの明るい色彩に惹かれていた松本には、教室が暗く見えたという。入学の年の秋、日本橋高島屋で「世界・今日の美術展」を観覧し、「アンフォルメル」という新動向に衝撃を受けた松本は、指導教官・小磯良平(1903〜88)に背中を押されながら、ひとり抽象画を描き始める。

松本陽子 作品I 1959-60

大学を卒業した1960年にはモダンアート展で「10周年記念大賞」を受賞し、翌年の初個展でも好評を得た。後にピンクのアクリル絵画で広く知られることになる松本だが、この頃すでに色面を構成した抽象画のなかにピンク色が登場している。しかし、学生時代から抱えていた油絵具への根深い違和感は消えず、思うような絵が描けない停滞の時期が続いた。

会場風景

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